今日は体幹の筋力についてお伝えしていきたいと思います。皆さんは体幹の筋力と聞いたとき何を思い浮かべるでしょうか?腹筋?背筋?インナーマッスル?
人が生活する中で体幹の筋力だけを特異的に動かす機会は少なく、物を持ち上げるときや立位のバランスを制御する為の安定化機構として働いていることが殆どです。
どんなに力強い筋力を保有していても目的の動作を遂行するためにタイミング良く筋収縮が行われなければ実用性が低いという事になります。
このような体幹筋の先行的な働きを先行随伴性姿勢調節または予測的姿勢制御(anticipatory posturaladjustments:APA)と言います。
以下のグラフは股関節の運動(曲げる、開く、伸ばす)に伴う体幹筋の筋放電を観察したものになります。TrAは腹横筋と言われ体幹インナーマッスルの代表格になりますが、それぞれの運動の主動作筋(メインで働く筋肉)よりも先行的に活動がみられる事が分かります。(P W Hodges et al:Contraction of the abdominal muscles associated with movement of the lower limb)
APAの働きは上肢活動でも同様にみられ、以前までは中枢神経系(脳や脊髄)の働きの低下でこれらは破綻しやすいとされていましたが、最近の研究では慢性腰痛者でも運動恐怖心によってAPAを介して運動や姿勢制御に悪影響を及ぼしていることが明らかになってきました。
https://www.degruyter.com/document/doi/10.1515/sjpain-2022-0078/html